人や社会のダークサイドをあらわにすることは、これまで写真表現が挑んできた重要な課題であり、ロジャー・バレン(1950年、ニューヨーク生まれ)がその系譜に連なる最も重要な作家の一人であることは間違いない。1980年代に南アフリカに移住した彼は、アパルトヘイト(人種隔離政策)廃止前後の差別のありようや貧困問題をテーマにしながらも、その制作スタイルは当初のドキュメンタリーから様々な演出をほどこす構成写真へとユニークな変遷を遂げている。
近年では、アフリカの貧困白人層から生まれたカウンター・カルチャー‘Zef’を代表するラップグループ、ダイ・アントワードと共同で「I Fink UFreeky」のミュージック・ビデオを制作、動画サイトYouTubeでの視聴回数は5千万回を突破し、メジャーな価値観や美意識を嘲笑うかのような独特のセンスが大反響をよんだ。
今回のKYOTOGRAPHIEで開催される「Shadowland 1969–2014ロジャー・バレンの世界」は、待望の国内初個展となる。この展覧会タイトルは「いわばリアリティとフィクション、意識と無意識といったものの狭間にある世界、ミステリアスで夢でもみているかのような気分がそのまま続いているような世界」を表しているという。堀川御池ギャラリーでは、昨年4月に写真集が出版された「Asylum of the Birds(鳥の収容所)」シリーズと、これまでの作品を網羅するレトロスペクティブが展示
された。
また、この展示と連動し、コム デ ギャルソン京都店で代表作「OUTLAND」シリーズより新作の映像作品が展示された。KYOTOGRAPHIEの開催する本展が縁となりコム デ ギャルソン・オム プリュスの2015年秋冬コレクションでは、フィナーレを飾ったルックで、「Asylum of the Birds」の作品画像がジャケットのバックプリントに使用されたが、コレクションのテーマ「power of ceremony」の“儀式”と、バレンの作品に見られるモチーフ、死体や鳩などの強いイメージが見事に融合されていた。

参考サイト:
http://www.rogerballen.com/

slide08

展示作品
アーカイバル・ピグメント・プリント 計79点
290×360 14点
400×400 27点
500×500 6点
700×700 4点
800×800 13点
900×900 12点

巡回可能期間:2018年まで

▶巡回展トップに戻る