世界的に注目されるコンゴのファッショニスタ、サプール(Sapeurs)は、サップ(S.A.P.E)と呼ばれるファッションを楽しむ人々を意味する。S.A.P.Eとはフランス語Société des Ambianceurs et des PersonnesÉlégantes(日本語では「お洒落で優雅な紳士協会」などと訳される)の略で、50–60年代パリのエレガントな紳士や、英国のダンディズムを手本にしたファッションのことだ。1960年代の西アフリカと、ヨーロッパに渡った移民たちの間に広がった。
サップには暗黙のルールがあり、全身のコーディネートに使う色は3色までが原則だ。最先端のファションを取り入れつつ小物まで気を遣って、自分だけの伊達スタイルを作り上げるのだ。サプールは休日になると街を闊歩し、見物人の視線に応えるように、独特の動作で見得を切って場を盛り上げる。まだ豊かとはいえない経済状況の中、給料の大半を衣服につぎ込むサプールも珍しくない。
ボードワン・ムアンダ(1981年、コンゴ共和国ブラザヴィル生まれ)は、そんなサプールを記録した作品で2009年にアフリカ写真コンテストの新人賞を受賞し、世界各国で紹介されてきた注目作家だ。コンゴ共和国の首都ブラザヴィルで育ったが、サプールに初めて興味を抱いたのは、ジャーナリズムを勉強するため留学していたパリでの出来事がきっかけだったという。
「2007年にサプールがパリの地下鉄を盛り上げているのに出会って、嬉しくなったんだ。その後に、1998–99年の、つまり内戦が終結した後のブラザヴィルで、彼らがとても重要な役割を果たしたことを知ったんだ。何も残っていない荒廃した街で暮らすコンゴ人たちの日常に、サプールが変化をもたらした。トラウマを抱えた人々にとって、彼らのアトラクションは希望を持つべきだと示してくれるショーみたいなものだったんだ。(紛争の時は)家を出られなかったから、お洒落することもできなかったじゃないか!ってね。自分たちは助かって、幸運にも生きているんだ」*。
それぞれの地域には地元を代表するサプールがいるが、重視されるのはファッションだけでなく、道徳や非暴力、言論の自由等々を尊重する精神であり、それらが備わってはじめてサプールと認められるのだという。ムアンダが、ポーズをきめたらではなくストリートを闊歩する様をスナップするのは、その生き様やムードを表現するためだという。今回実現した日本初個展ではプロジェクションとアフリカの音楽による展示となる。

*参考:The Leica Camera Blog. “Baudouin Mouanda; The Ins and Outs of S.A.P.E”
2011年4月

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展示作品
KYOTOGRAPHIEではプロジェクションによる展示でご紹介しましたが、プリントによる展示も可能です。お問い合わせください。

巡回可能期間:2018年まで

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