写真家としてだけでなく、キュレーションや出版レーベルの運営など、様々な次元で写真文化の発信に取り組んできたオリバー・ジーバー(1966年、デュッセルドルフ生まれ)。彼の活動に通底するのは、若者たちの個性やアイデンティティと、その形成に深く関わるユースカルチャーへの関心である。
代表作「Imaginary Club」(2013年)は日本、ドイツ、アメリカなど世界各国を訪れて撮影した作品だ。音楽を発祥とするカルチャーにはそれぞれ特有のスタイルがあるが、モッズやパンク等々の服装や髪型できめる若者をモデルに、バストアップのポートレートを撮影している。特徴的なのは、どの写真も斜め前方をみつめる同じようなポーズであること。この標本のような写真群からは、音楽やファッションが世界中の若者たちにとって重要なアイデンティティとなっていることが読み取れるだろう。作者が作品に表した“空想上のクラブ”は、ある意味、現実であるとも言える。
ここで思い出されるのが、20世紀初頭、ワイマール共和国時代のドイツで活動した写真家アウグスト・ザンダーだ。彼はあらゆる階層や民族、職業を撮影し、社会構造を浮き彫りにしようとした。この壮大な仕事は後世に多大な影響を与えたが、その代表格であるベルント&ヒラ・ベッヒャーは近代産業の遺物として残る建造物を撮影し、「タイポロジー(類型学)」と呼ばれる表現スタイルを確立した。被写体の類型ごとに写真を集めることで、イメージは記号化され、同時に差異が強調され、そして総体として見えてくるものが示唆される。ベッヒャー夫妻が教鞭をとるデュッセルドルフ美術アカデミーで学んだベッヒャー派と呼ばれる作家の多くは建築や環境へと感心を向けたが、デュッセルドルフで育ったジーバーは、このドイツの地方都市に住む若者がパンクやモッズに夢中になる様子に興味を抱いた。そして、この街で処女作「SkinsModsTeds」(1999年)を撮影し、自身の制作スタイルを確立したのである。さらに、2006年には大阪府とデュッセルドルフ市による交流事業に参加、日本のサブカルチャーを題材に「J_Subs」を制作している。本展覧会は、「Imaginary Club」とこれらふたつの作品が同時に紹介される初めての機会となる。

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展示作品
Imaginary Club シリーズ 120点(フレーム8点に収納済)
SkinsModsTeds シリーズ 55点 (プロジェクション)
J_subs シリーズ 66点

巡回可能期間:2018年まで

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