パリを拠点に活動するヨシダキミコの作品制作は、全て作家本人がモデルとなったセルフポートレートのスタイルをとっている。日本をはじめ各国の花嫁を題材とした「Bright Bride」、オートクチュールブランドのアーカイブをもとに制作した「Haute couture」、名作絵画からのインスピレーションを作品化した「Paintings」等、写真作品のシリーズは、みな同じサイズ(150cm×150cm)に、同じ構図、同じ主題、同じライティングで撮影され、デジタル加工は一切施されない。纏う“衣装”は、オートクチュールのアーカイブ・ピースであろうと、また古い民族衣装であろうと、多くの場合、その機能のままに使用することはなく、パンツやスカート、靴やハンドバック、さらに服飾品以外のランプ・シェードやカーテンの房飾り等々、様々なものを組みあわせて独創的にコーディネートするのだ。そして本人の顔や身体もまた、装飾的な構成要素の一部となり、モデルはまるで写真絵画の中に塗り込められているかのよう。
作品の性質上、アイデンティティは主要な問題となるが、ヨシダキミコにとって重要な問いは「私は何者であるか?」ではなく、「どれだけの私がいるのか?」ということであり、作品とその制作過程は“消滅の儀式”の実践なのだという。それは例えば、自らの性をとことん解体しようとしたクロード・カーアンや、メディアに流布する女性のイメージを自ら演じたシンディ・シャーマンなど、先行するどの女性作家たちとも違ったセルフポートレート制作の態度と言える。これまでヨーロッパで高く評価され、数多くの個展を開催してきたが、今回、初の本格的な国内展が実現することとなった。
特に注目されるのは、京都ならではの伝統技術とのコラボレーション。展覧会場として花洛庵(京都市指定有形文化財)を提供する京染呉服の老舗・野口家は、今回、展示作品の制作にも関わっているが、このプロジェクトは、自らも伝統技術とクリエイティビティの融合を体現する
GUCCIの支援により実現した。GUCCIの本拠地フィンツェと京都は本年姉妹都市提携50周年を迎える縁もあってのことである。

2ヨシダ キミコ[ 絵画(パオロ・ウッチェロ画サン・ロマーノの戦い)]、セルフポートレート、2010

展示作品
ディアセック 8点 1200 X1200
掛け軸 4点 1750 X 3500
屏風 5点 1800 X 1800

巡回可能期間:2018年まで

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