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詩的かつノスタルジックな描写で知られる稀代の映像アーティスト、サラ・ムーン。世界中に熱狂的なファンを持つ彼女が、2016年度のKYOTOGRAPHIE京都国際写真祭で披露するのは、《Late Fall》と《Time stands still》のシリーズ。
《Late Fall》は、近年、“時の美しさ、不確実さ、儚さ”を制作テーマとしてきたムーンが、フランス国立自然史博物館所蔵の植物標本や動物の剥製をモチーフに制作し、フランス本国での展覧会が大好評を博した作品群で、生と死、神話や寓話、孤独など、心の内奥にあるものを想起させる独自の世界観を創出している。

Avant dernière pivoine (Last but one peony), 2011 © Sarah Moon

サラ・ムーン「最後からふたつめの芍薬」、2011年 © Sarah Moon

《Time stands still》は、ヨーロッパ各地の風景をモノクロームで捉え、水平線をイメージして制作された。薄い土佐和紙に印刷されたプラチナプリントは、裏打ちされずに吊るすように額装され、作品世界の繊密さをより深いものにしている。

1941年フランス・ヴィシーに生まれ、 60年代にモデルとして活躍したサラ・ムーンは、70年代にファッションや広告の分野で写真家としてのキャリアをスタートさせた。シャネルやディオール、コムデ ギャルソンを含むトップメゾンの仕事に携わり、1985年には作家活動を開始、1995年にパリ写真大賞を受賞した。写真集には『Improbable Memories』(1981年Matrix)、『VRAIS SEMBLANTS: Sarah Moon』(1991年パルコ出版)、優れた写真集を選出するフランスのナダール賞を受賞した『Sarah Moon 1,2,3,4,5』(2008年 Thames & Hudson)等がある。

Les ombellifères (the umbellifers) © Sarah Moon

サラ・ムーン「セリ科の植物」、1993年 ©Sarah Moon

2a ギャラリー素形

〒604-0021京都市中京区室町通二条下ル蛸薬師町271-1
地下鉄東西線または烏丸線「烏丸御池」駅 2番出口から徒歩6分

OPEN:10:00-19:00
CLOSED:4/25、5/9

¥600 / 学生¥400

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© 2016 Naoyuki Ogino

2b 招喜庵(重森三玲旧宅主屋部)

〒606-8312京都市左京区吉田上大路町34
市バス201または206系統で「京大正門前」バス停から徒歩10分

OPEN:10:00-17:00
CLOSED:4/25、4/26、4/27は14:00–17:00、5/6は10:00−13:00(変更の可能性あり)

¥800/学生 ¥600
※庭園の見学は、重森三玲庭園美術館への事前予約が必要です。

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© 2016 Naoyuki Ogino