ヨシダ キミコ、アーティストが自ら作品について語ります。
作品の背後の哲学と、実際に作品にする過程とを解き明かします。日本語での開催。
ヨシダ キミコ
1963年東京生まれ。1996年にジャン=ミシェル・リベッツと出会い、以来フランスのパリ、イタリアのヴェニス在住。
声明アートとは、置換へと向かう繊細な作業であり、ある状態へのたゆまぬ努力である。「私は何者であるか?」とはとるに足らない質問であり、より重要な問いは「どれだけの私がいるのか?」である。ジョン・レノンは歌っている。「ぼくは君みたいな彼みたいで、君はぼくみたいな…」私じゃないわたし̶私の関心はそこにある。私がいないと思う場所にいること、私がいると思うところから消えること、それが大事である。私の作品は、表現と意図、表現と消失、表現と不在、表現者であることと表現されること…それら境界線の上に現れるのである。いかなる「アイデンティティーの追求」やそういったもの、付属物や「コミュニティー」、「ジェンダー」や伝統にも、背を向けてきた。セルフポートレートは自己投影ではなく、自己表現の投影である。他者たること、不同一であることが、アート作品を唯一無二のものにするのだ。この他性こそが表現の変化を導き、抽象化へと向かわせるのである。